烏山の家
世田谷の閑静な住宅地にある。ほぼ正方形の敷地に対して極めてシンプルなコの字プランを基本とした。スキップフロアにすることにより生まれたレベル差が採光性を高め、ゾーニングを明確化する。我々が住宅の一つの形態として考えてきた「箱」形態の表現手段として有効であるボックスカルバート構法により、無粋になりがちな小壁を排除することができ、9.5mスパンの大空間と開放性を実現した。開放への緩衝としてFRPグレーチングのスクリーンが美しいファサードを演出し、段状に設けたデッキはコート空間に上昇感を与え、視覚が限定されることで逆に空間の広がりを生む。極端にゆるい階段は昇降の負担が少なく、ガラスの天井は青い空に近づくことができ、コートのカツラの木がやすらぎを与える。都会の空気や時間軸から開放され、ゆるやかな居住空間となれば幸いである。
SIGHT 13号掲載
竣 工 :2001年7月
所 在 地 :世田谷区上祖師谷
構造規模:鉄筋コンクリート造 地上2階地下1階建
敷地面積:170.91平方メートル
建築面積:85.42平方メートル
延床面積:188.26平方メートル
施 工:平成建設