■スロープのある家
建主は現代版画を収集しており、版画を飾り楽しみながら生活する住まいが求められた。展示会のような大きな空間で版画があるからこそ成立する住空間を目指した。建物は二つのボリュームが立体的にずれながらかみ合った構成をしている。主体となる大きなボリュームは、ゆったりとした吹き抜けの空間で、リビングダイニングといったパブリックな場所であり、版画に囲まれたスペースである。高さを変えてかみ合っている小さなボリュームには、キッチン、水廻り、寝室、仕事室の機能を納めている。この二つのボリュームを貫通し、立体的に循環する動線計画とした。光あふれる大きな空間をスロープで巡ると、版画と家の景色そして家族の様子が多様に展開する。家の中を回遊する終わりの無い動線が、生活に思いもよらぬシーンとひろがりをもたらすことを期待している。
竣工:2012年4月
所在地:埼玉県さいたま市
構造規模:鉄骨地上2階
用途:戸建住宅
敷地面積:162.60平方メートル
建築面積:106.39平方メートル
延床面積:167.93平方メートル
施工:株式会社山崎工務店