河口湖の山荘
■ 自然へ溶け込む壁
河口湖畔より車で約15分程の、富士山の斜面に建つ山荘の増築である。夏期の大半を過ごすため、既存の山荘にオーナー専用の個室として計画された。以前伊豆の狩野川近辺に設計したスパイラルボックスの変奏型で、渦を巻いて立上がった一枚の壁と屋根の間に展開する基本的にはワンルームの建物である。 1階の大半を占める寝室は中心部と45°の角度をなした壁によって谷筋に向かって開放され、バルコニーを通 して山の斜面へと連続している。現しとなった天井の米松の登り梁がリズムを刻み、この空間の連続性を強調している。一方、アプローチは北側の渦の外側からで、開口部の少ない防御形をとっている。 塔屋となった2階はキッチン及びラウンジで、南側の富士山頂への眺望は抜群である。 渦を巻く一枚の三角形の壁により、地形に対して調和しつつも対比的な2つの空間を生み出すことを目差した。
竣 工:2001年7月
所 在 地 :山梨県南都留郡鳴沢村
構造規模:木造2階建
用 途:専用住宅
敷地面積:1,361 平方メートル
建築面積: 65 平方メートル
延床面積:91平方メートル
施 工:富士観光開発
設 備:床暖房