07美しい階段 部屋を上下につなぐデザイン


07美しい階段 部屋を上下につなぐデザイン

階段は本来、階と階をつなぎ、移動するための「段のついた廊下」であり、きわめて機能的なものである。ただし、階段にはそれだけがない別の力があると思う。通過することで、住まい手の気分を切り替えたり、あるいは訪問者の気持ちを高揚させたりと、人の気持ちに強く働きかけることのできる力である。寝室に続く階段を上りながら人は意識をリラックスモードに切り替え、あるいは玄関ホールの吹き抜けにある階段を上りながら、来訪者が次のスペースに対する期待感を高めることもあるだろう。
階段は特に設計の難易度が高い部分で、その設計者の腕前が最も発揮される場所でもある。上りやすいこと、安全であることなど、移動の装置として機能的であることは当然として、美しさやアイディア、人の心に働きかけるしつらえなど、プラス・アルファの要素が求められるのである。


「美しい住宅をつくる方法」より


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