川越氷川神社の裏手、洗濯物がたなびく住宅街の真ん中に ヤオコー川越美術館(三栖右嗣記念館)はある。日常が溢れ、美術館の立地条件としては決して恵まれていないこの地に、設計者である伊東豊雄氏はいかに非日常を演出し、画家個人を表現できるかが設計のテーマにして計画したのでは と思われる。
10m四方の部屋を4つ組み合わせただけのシンプルな構成ながら、天井の形状や照明・採光の工夫により次第に非日常の世界に引込まれるシークエンスはさすがである。ラウンジに展示してある しだれ桜を描いた『爛漫』は圧巻で、すがすがしい気分になれる美術館だった。
観賞後、ラウンジで珈琲を味わっていると、隣席の老夫婦の会話が聴こえた。
「本物よりきれいだね」 (kazu)

