これまで当たり前のように使っていたベニア板がなくなりました。
東北の大手供給元が震災の直撃を受けたことによります。
そんな中で、工務店の努力により確保してもらった資材は貴重です。
室生寺の五重塔を久しぶりに訪ねました。
木立から建物が顕在化された姿は、日本人の美意識そのものだと思います。
学生の頃、土門拳の写真集で室生寺を見たのが最初の出会いでした。
その後、何回か訪ねていますが、知る限り最も美しい塔状建築の一つであるとの思いは変わりません。(sugi)
千葉県に新しくできた”ホキ美術館”を見てきました。
普通の住宅街から少し山手の方にある敷地ですが、
周辺には何軒かの住宅があるような場所に、ものすごい
キャンティレバーの鉄の箱が突き出ている状態は少々
迫力ありすぎと思いました。
しかしものすごく飛び出しているので、一度観てみてはと・・・
内部動線も鑑賞者を導くような様々な仕掛けがあります。
絵画も写実調で、絵画に詳しくない私でも十分に楽しめました。
(USU)
今回は樂茶碗で有名な樂家の茶室を見学した話です。
樂家15代目当主 樂吉左衛門氏が、伝統的な茶室とも建築家のつくる実験的なソレとも
異なる「守・破・離」の精神のもとに挑戦したこの茶室は佐川美術館の水庭を利用した「水中に沈む茶室」です。
茶室丸々モックアップを製作したこの茶室には、ここまで考えられているのか・・・と驚く光の仕掛けが随所に散りばめられており、是非体験してもらいたい空間です。
佐川美術館を手前に葦の奥に位置するのが、今回の茶室です
美術館アプローチ
太陽の光が水庭に反射して軒裏に光がゆらゆらと現れます
円筒の中は水露地で円筒に流れ込む水の音を感じる腰掛待合があります
ブラックコンクリートの壁面には水の音がでる為のディテールがあります
東屋と広間を繋ぐジンバブエ産の割れ石の通路です
そのまま広間の外縁につながり、茶室からは人の視線によって石が波際のように
見える磨き方をしていました
茶室に付随する樂吉左衛門館のエントランスロビー
水庭から降りそそぐトップライトは短時間の間に様々な光の表情をつくります
例によって茶室内部は撮影禁止ですが、見学の際には小さな写真集がついております。
場所は京都駅より堅田駅に降りて佐川美術館行きのバスより。
とにかく水を介した光が差す感動的な美術館なので、京都など行く際には是非。
(Mata)
以前東北方面に旅行に出かけた時に、非常に興味深い空間の仏堂を見てきました。
福島県の会津若松にある”さざえ堂”という建物です。正式名称は円通三匝堂
(えんつうさんそうどう)というらしいのですが、外観がサザエの貝殻に似ている
ことから”さざえ堂”と言われるとのこと。
外観がサザエの貝殻のような形をしておりますが、内部は外観からも想像できる
ような”2重螺旋の構造”になっております。
堂内は一続きの回廊となっており、昔は順路に沿って三十三観音や百観音などが配置され、
右回りに三回匝る(めぐる)ことで参拝できるようになっていたとのことです。
内部の構造は中央のコアに向う梁と、螺旋状に上がって行く登り梁が綺麗な架構を組んで
おり、江戸時代にこのような木造建築を造る技術に関心させられました。
そしてこの建物の空間の大きな特徴である”2重螺旋構造”という言葉の響きが好きで、
楽しげな空間が造れるのではないかと錯覚してしまいます。
順路に従って内部の写真を並べてみたいと思います。
ぐるぐる廻りながら一筆書きの内部空間です。先へ先へずっと続いて行く回廊は、大げさに
言うと閉塞感と無限性が同居した不思議な空間だと感じました。
先が見通せないことは閉塞的ではありますが、「この先にはまだまだ空間が続いているんだ!」
という心理的な空間の広がりを感じられる要素は普段設計している住宅にも生かせると思いました。
”先の見通せない空間の豊かさ”や”隣の部屋とどう接続させるか”などなど最近私の興味のある
キーワードです。
(USU)
京都、南禅寺にある八窓席を見てまいりました。
6つの窓と部屋の中央に位置する躙口等が特徴のこの茶室は
小堀遠州が設計したとされる茶室です。
個人的に感じたのは「ミニチュア感」。
3畳台目と1800mm程度の低い天井の小さな空間に対して
墨蹟窓や掛込天井・平天井の張り方等、造りの精巧さがかえって、
思わずにんまりとしてしまう可愛らしいスケール感があり、狭小空間の楽しみ方のヒントを
貰ったような気がします。
写真はフラッシュがたかれ、雰囲気が伝わりませんが、
実際は6つの窓からの柔らかい光に包まれるサイレントスペースならではの優しい空間です。 (Mata)
(内部撮影不可のため、写真は受付購入のものです。。。)
サントリー美術館内にある茶室、玄鳥庵を見てまいりました。
赤坂見付にあったものを移築した茶室で一般の方も定期的にお点前に出席できます。
狭小空間に哲学的な思想・文化を盛り込んでいるの茶室は世界でも日本くらいという
稀な空間ですが、凛とした緊張感からうまれる不思議な心地良さも又、稀な感覚です。
ミッドタウンに行かれる際は是非あわせてのぞいてみてくだされ・・・(Mata)
先日、進行中のプロジェクトの内の一つの、上棟後の現場を見学させて頂きました。
図面上だけではなく、やはり実物の様子を観察する事や、お話を伺う事で体感していく事は大事で必要な時間だと感じます。私もまだ見習い中ですが、経験豊かなスタッフ、工務店、職人の方から多くの知識を学び、身につけていきたいです。
*写真は、大きな開口を支えている補強された梁の様子と、今回こだわっているという薄い庇に、収めている樋の様子です。スタッフと現場の方々が話し合い試行錯誤して良い物をつくりだされていきます。
植物は建物を構成する要素の中で、唯一「生きているもの」です。
建築と緑を組み合わせる事で、有機的な空間が作れるのだと思います。
緑は成長してゆき、その姿を変えてゆきます。不思議と、施主に愛情を持って育てられた植物は、美しい姿となってゆくものだと思います。
11月15日のオープンハウスは多数の方にご来場いただき、ありがとうございました。
この場を借りてお礼申し上げます。
玄関のシンボルツリー(シマトネリコ)
親世帯の庭(シンボルツリーはエゴノキ、高垣はシラカシ、地被は斑入りフッキソウ)
道路沿いの緑(ユキヤナギとヘデラ)
5年後の姿(これ位に樹木が成長してくれているはずです)
鎌倉で住宅が竣工しました。
鎌倉というのは、「地霊」を感じる場所だと思います。自然環境に恵まれた、豊かな土地ですが、かつてそこに生活したであろう先人の「気」のようなものが、そこはかとなく漂い、建築のデザインを新たにする場合であっても、何かそれを受け止めるためのエレメントが必要である感じがします。
今回の場合、それは施主の持っていた「シャンデリア」ではなかったかと思います。
この住宅では、シャンデリアを空間の中で顕在化させるために、室内の仕上げを床、壁、天井すべて同一の材料を使用しました。「合板のシリンダー空間」です。
これに対して、1階はモノクロームの空間です。白と黒のタイルを市松状に張り、壁は白、または黒としており、ここでも入り口付近にあるシャンデリアが人を迎えます。
11月から施主の生活がそこで始まる予定です。どのような生活が、そのシャンデリアを中心に営まれていくか、デザイナーとしてはとても興味深く見守り続けたいと思います。(Sugiura)