昨年逝去された渡辺明氏設計による「沼津倶楽部」を見る機会があった。
氏の集大成とも言えること建築の基本になっているのは、磚(せん)と版築、それから木である。
磚をこれだけの厚みに焼いた事自体、これから風化してゆく事を前提とした、「エイジングへの決意」とも受け取れる。版築はすでにひび割れて汚れもついているが、施工者の話では、渡辺氏は「こうなるのを待っていた」との事。全体の素材選定の考え方からすれば、一本筋のとおったものを感じる。(sugi)
テーブル状になっている所の天板として磚を使用している。厚みは100ミリくらいあるか。
磚の床
版築の壁
那須の二木倶楽部にも通じているが、このような建築においては他人の追従を許さないところがあると思う。
目白にある吉村順三ギャラリーです。元々の吉村先生の設計事務所で、現在は1階が吉村建築の展示ギャラリー、2階がシェアオフィスとなっています。
現在ギャラリーでは「国際文化会館住宅とアーモスト館」を展示しており、訪問当日は、平尾寛さんや藤井章さんなどがおられ案内をしていただきました。
事務所OBが現在でも運営に関わっておられます。このような事務所になりたいものです。(sugi)
2階の事務所部分で現在はシェアオフィスとして使用されています。かつて学生時代にここでアルバイトをしたのを思い出します。
1階の応接室
吉村先生は、「オーソドックス」である事を追求されて新境地を切り開きました。見た事もないものを作り出す事より、オーソドックスでありながら他人の追従を許さないものを作り出す方が難しい事だとと思います。
さいたま市の別所沼所公園に「ヒアシンスハウス」という名の家が建っています。
24歳の若さで病で亡くなった立原道造氏が構想していたスケッチをもとに
2004年に再現されました。
家といっても5坪ほどの小屋で、ベッドと長テーブル、トイレが附属してあるだけ。
机や寝具脇にある窓が印象的です。
屋根裏部屋を切り取って・・。外を眺めてウトウトしそうな・・。
狭いけど不思議と落ちつく空間です。
写真でみると手のひらにのりそうなかわいさです
内部の様子
窓が印象的でした
スケッチ
立原氏がこのヒアシンスハウスを思い描いていたのは80年ほど前。
数年前の学生コンペなどでは分棟型のプランが流行ってました。
時代をさらに遡れば茶室や、場所を変えればツリーハウスのような
世界中にも魅力的な小さな家や小屋が存在します。
時代や国境をこえて、人には小さな空間を
心地よいと感じる感覚が共通してあるのだと思います。
部屋を広くするだけじゃなく、一室サイレントスペースのような部屋を設けるのも
心落ち着く住まいの提案になるかもしれません。
(Mata)
菊名の家を見ていただいた方から、一句頂戴しました。感謝します。
中庭の空に涼しき朝の雲
田中 清之
中庭からは「自分だけのために切り取られた空」を楽しむ事ができます。(sugi)
出身高校で、高校2年生を対象に「進路説明会」が開催されました。「建築・環境デザイン」に興味を持つ学生に、その分野の説明をしてきました。それに先立ち行われた全体会の様子です。(sugi)
約9年ほど前の作品です。竣工当時の姿はこちらから。コンクリート打ち放しの壁は、まだ撥水材が効いていて、それほどの汚れはありません。ただ、工事の補修跡が、やや浮き出てきています。そろそろメンテナンスを検討する時期のようです。
近くに行く用事があり立ち寄ったところ、偶然クライアントと数年ぶりにお目にかかり、話をしました。今年はシャラの木が(二代目だそうですが)つぼみをたくさん付けており、花が期待できそうだとの事。
その他、木部のメンテナンスもしていただいており、年月相当の風格が出て、いい雰囲気になっていました。
建物の使用者の愛情を感じます。感謝。(sugi)
パソコンを更新したので、データを整理していたら、こんな動画が出てきました。稲田堤の家の引き渡しの日に、本間建設の社長(カメラマンでもあります)が撮影してくれたものです。感謝。
もうあれから5年も経ったか。(sugi)
栃木県那須に芦野というところがあり、地元で採掘される石を「芦野石」といいます。コンクリートのような素っ気ない石ですが、御影ほど堅苦しくなく、かといって大理石ほど自己主張が強くなく、非常に日本的な素材です。
地元の白井石材に伺い、石の美術館や加工場を案内していただきました。
人間の目には、素材の厚味が見通す力があると言いますが、まったくその通りだと思います。(sugi)
さわやかなゴールデンウイークに、安芸の宮島・厳島神社に久しぶりに行ってみました。
個人的に初詣に行くことが多い厳島神社ですが、この時期に行くと、普段味わえない景色に巡り会えます。
ますは、神社特有の朱色。古来より災厄を防ぐ色(魔除け)として神聖な場所や地域使われ、生命力や躍動をあらわす色のようです。
次に、緑色。山や樹木の緑もさることながら、祭壇の菱格子や、開口部の縦格子も緑色に塗られています。
朱と緑は補色の関係ですので、それらが明るい5月の光でさらに鮮やかさを増す演出がされています。
その他、神社の配置計画により、海に浮かぶ鳥居や五重の塔、千畳閣が切り取られた1枚の絵のように表情を変えて見えてきます。
回廊の天井には、海の反射からできる光のゆらめきが映し出され、当時の心豊かな生活が垣間見えるように思います。
話は全く変わってしまいますが、広島といえば「カープ」でしょう!
念願のマツダスタジアムに初めて行ってきました。!!
しか〜し! 共通事項があるでしょう。赤いユニフォームと天然芝の緑。以前の市民球場と比較してかなり色鮮やかな明るい雰囲気。超満員のスタンドの一体感は東京ドームでは味わえないものです。
昭和50年にルーツ監督の指示で、それまでの紺色のユニフォームから元気が出る赤にしたのは、大正解だと改めて関心しました!!! (kazu)
ホワイトガーデンというコンセプトで、庭をつくる手法があります。
ユキヤナギ、コデマリ、ジューンベリー、白花のツツジ、アジサイなど4月から6月くらいにかけては、一番花が主張する季節となります。
そんな折、丸山健二氏の「安曇野の白い庭」という本を読む機会がありました。
氏の庭に対する強い思いは、以前から感じるところがありましたが、建築は竣工の形がそれ以後も保存されてゆきますが、庭は竣工後の手入れをする人の思いが変化をもたらせるものだというのを改めて感じさせます。(sugi)