現在工事中の「寄居の家」の刻みの様子を紹介させて頂きます。
現代の木造住宅では、骨組みとなる構造材の加工は、
規格化された材をコンピューター制御されたマシーンで半自動的に切り出す「プレカット」という方法が一般的ですが、寄居の家では、大工さんによる「手刻み」の方法がとられています。
日本建築の長い歴史の中で培われたその技法は、プレカットに比べ手間がかかりますが、
、強く美しく長持ちする架構をつくります。
釘や接着剤を一切使わず木と木をが組み合わさる「仕口」や「継手」は隠れてしまう部分も多いですが、その形そのものが芸術的です。
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広い敷地に所せましと並べらせた部材。
刻まれた部材どうしを合わせ修正していきます
曲がりくねったマツの丸太の梁。
柱、束、梁が取り合うための窪みが刻まれています。
パッと見気づきにくいですが、左側は金輪継で継がれています。力強く、美しいです。
丸太と丸太の取り合い部分。曲面が美しいです。
丸太梁の端部。
丸太材は高さ方向は勿論、横方向にも曲がりくねっています。
ここでは柱に対し45°(柱断面の対角線方向)に梁が取り合うため、鋭角に刻まれています。
ヒノキ柱の端部。正確な刻みが美しいです。
右下の角は、細い棒が挟まっているわけではなく、なんとこの柱の一部です。
玄関ホールのケヤキ柱の刻みの様子。
スギやヒノキやマツに比べ、ケヤキは格段に堅く丈夫な木材で、刻みも大変です。
ケヤキ柱端部。
丸太材の微妙な形に合わせた絶妙な曲面が刻まれていきます。
建築の一部というより、そのものが彫刻の様に感じます。
斜めに架かる横架材のために、鋭角の複雑な刻みとなっています。
差鴨居の仕口。
奥に向かって広がる蟻穴の仕口です
施工図ともいうべき「板図」。目を凝らすと柱一つ一つに細かい情報が書き込まれております。余白の様に映ってる場所にも詳細な納まりが書かれています。
刻み工程はもう少々続きますが、上棟が楽しみです。
bob