市川の家が先週竣工しました。日程の都合上内覧会を行えなかったので、建物の様子をご紹介いたします。
これまでも計画の段階から模型写真等で計画の概要はお伝えしてきましたが、木造でありながら一部キャンティレバーの箱が乗っており、外観は特徴的な形をしております。1階部分の箱の外壁仕上は一部ルーバーとなっており、特徴的なテクスチャの仕上を施主様といろいろと相談した結果、スチール角材に溶融亜鉛メッキをした後、リン酸処理という仕上を行うことで、黒い斑模様の存在感のある外壁仕上となりました。
リン酸処理のテクスチャはこんな感じです。独特のムラがいいと思います。また錆ない仕上と言われており、海岸地域でも使ったことがあります。
角材の取付時の様子です。鉄骨屋さんが3~4人で一生懸命に取り付けて下さいました。角材の厚みがある分、かなりの重量ですので、大変だったと思います。
表札・インターホンのプレート板にもリン酸処理をして、外壁材と合わせました。
玄関ポーチの天井から壁にかけて、同じピッチのルーバーを取り付けました。ルーバーから漏れる光がきれいに見える時間帯でした。正面にはアクセントとして、メタリック焼付塗装をしたプレートを取り付けて、裏側に間接照明を取り付けました。
玄関扉を開けると正面にタモ練付材を黒色のオイルステインで塗装した壁が目に入ってきます。階段手摺のフラットバーの縦桟を階段下収納の扉と扉の間に納めて、黒い細いラインがアクセントになるデザインとしました。
黒い壁の中央上部に縦スリットを設けて、壁の裏にあるトップライトからの光が漏れることを意図しました。玄関ホールの吹抜の中央に丸い大きなペンダント照明を取り付けました。
この建物は箱型の外観を強調する為に、道路側から見ると開口部を付けておりません。その代わりにトップライトを設けており、玄関ホールの上部吹抜から柔らかい光が落ちてきます。
時間帯によっては垂木の影が壁面に映って綺麗に見えます。
エントランスホールからリビングに入るところの引戸をタモの格子戸とし、横の壁も同じタモ材のリブ壁とし、仕上を揃えました。
リビングにはH=1250の高さのテレビ台を造りました。この高さはお施主様からの提案でしたが、現場で家具が出来上がってから、改めて絶妙な高さだと感じました。奥にあるキッチンの存在感を消しつつも、リビング・キッチン・ダイニングが空間としては繋がっている。いわゆるパーテーション的な高さが、ワンルーム空間の家具として有効なのだと勉強になりました。
中庭プランなので、床面はウッドデッキとし、中央にシンボルツリーのエゴノキを植えました。やはり中庭には落葉樹が良いと思いました。猪俣造園さんには感謝です。
リビングの上部に細長い吹抜を設けました。広い吹抜ではないですが、やはり上下階を繋ぐ意味と採光確保の面からも吹抜は十分に有効だと感じます。吹抜の天井面にはタモ練付材を白色に染色したものを張りました。設計図ではクロスの天井でしたが、現場に入ってからの追加変更でしたが、存在感のある吹抜になったなと感じます。
キッチンに関しては、お施主様からイメージ写真を頂いて、その雰囲気になるように扉の面材のサンプルを沢山取って、吟味しました。少しメタリック調のメラミン材としましたが、かっこいいと思いました。奥の背面収納のカウンターの厚みを薄く見せることにこだわりました。
リビングから中庭を挟んで反対側の和室や浴室に行くための廊下は、気分をリセットできるような空間というか、別の空間という雰囲気にしたいといつも考えています。
3本の細長い窓と天井面近くに付けた窓から柔らかい光が入ってきます。
2階から吹抜を見た写真になります。吹抜には空調効率を考えて、ガラスを取り付けました。
最後に主寝室の写真です。ベッドの背面ボードの家具に間接照明を取り付けました。主寝室は他の部屋より仕上のトーンは落として、落ち着いた雰囲気とします。
お施主様とデザインを一緒に練り上げることができた仕事で、私自身も発想を試される仕事でありましたし、とてもやりがいのある現場だったと振り返って思います。
(USU)