先日房総半島の長南町という所に行く機会がありました。目的地は別にありました
が、ついでにどこかおもしろい所はないだろうかと地元で聞いてみた所、「笠森寺」
という所を教えて頂きました。
ついでだったので特に期待をしていなかったのですが、思いがけず興味深い建築
を見ることが出来ました。


この「観音堂」という建物は、一度焼けているので1590年代に再建されているよう
ですが、元は1028年に建てられた天台宗の建物です。
「四方懸造り」といって、日本ではこの建物だけしかない形式ですが、簡単に言うと
四角形の平面プランの建物の全ての面が崖に面して建っています。

力強い架構が崖の上にしっかりと根を張って、何か樹木の力強さをそのまま建物にした
ようにも見えます。

アプローチは長い階段をずっと登らされますが、登りきった所で一度建物の全景を見せ
られる作りになっており、どのように建っているかを知らされた状態で建物の中に入
って行くことになるので、非常に緊張感があります。この辺りの演出は建てた人の計算
にしっかり入っていると思います。


また、邪推かもしれませんが二世安藤広重の描いた浮世絵を見ていると、この建物に
は意図的にスリルを面白がらせる遊び心が潜んでいるようにも思えました。

admin (2010年8月 9日 23:25) | コメント(0) | トラックバック(0)

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